1冊のノートが「あなたの言葉」を育てる

どんな本?

コピーライターの川上徹也さんが、テクニックを使ってアウトプットするような「発言」や「文章」の前段階にある「内面の言葉を作っていく方法」について解説した本。

2018年4月発行。

具体的には次のようなことなどが書かれています。

■日々の気づきを書き記す「日気ノート」とは?

■語彙を増やすことは大切。しかし本当の語彙力とは?

■一番手軽に言葉の栄養分を補給できる媒体とは?

■言葉力をつける言葉の筋トレのやり方

■言葉の木を成長させるために必要なこと

所感

気付いたことを日々ノートに記入する

これを継続すれば、考える力や表現力がついていくことは十分に想像できるのですが、、、

継続できない・・・

考える力をつけるための本や、文章術の本などを何十冊か読んで感じるのは

デキる人は、ノートに日々の気づきを書きとめる
 ↓
そのノートをたびたび見返す

これを継続していることがよくわかります。

これを継続すれば、おそらく、いや確実に

▲気づきが増え

▲考える力が向上し

▲文章も上手になる

ということはわかっているのですが、続かない。

今まで使ってきた、中途半端に白紙のページが残っているノートが何冊あることか!

こういうことを繰り返しているうちに

何で継続できないんだろう?

と考えるようになるわけです。

その答えもわかっていて、自分が目指すものが明確になっていない、ということなのです。

本書がおもしろいのは、「自分が目指すもの」が何なのかを明確にするための方法が2つ示されていることです。

ひとつは、よくあるパターン。

自分の人生を棚卸する

自分の現在を分析する

自分の強みを見つける

そして自分は「何によって覚えられたいか」を明確にする

という手順です。

これは目標設定とかの本にも出ている事なので「うん、そうですよね」と言うだけです。

しかし、面白いのは2つ目の方法です。

著者は「自分が目指すもの」のことを「旗印」と表現しているのですが、旗印を作るためには、方法1の棚卸をすることが王道としながらも、手軽な第2の方法を提案してくれます。

その方法とは「本歌取りをして仮の幹を作る」という方法です。

著者の旗印は

「ビジネスをエンターテイメントに」からスタートし

「人生のすべてをエンターテイメントに!」にアップデートし

現在は

「言葉でもったいないを救う」

というものだそうです。

このように1行に凝縮された「旗印」を作ることができれば、自分は何者なのかということが、自分にも他者にも極めてわかりやすくなります。

さて、その仮の作り方です。

まずは元ネタを探します。

人、企業、団体等が使っているモットーやスローガンが良いとのこと。

例えば、アメリカ独立戦争のスローガン。

「代表なくして課税なし」

また、「うまい、やすい、はやい」という吉野家のキャッチコピー。

これらを抽象化します。

「代表なくして課税なし」
 ↓
「○○なくして××なし」

このように抽象化した上で、

歯科医のモットーとして

「予防なくして完治なし」

という旗印を作るという流れです。

このような仮の旗印でも掲げているうちにしっくりきて、自分の仕事に対する指針となる可能性はあるなと膝を打ちました。

川上さんは、具体⇔抽象を行き来する「メタ思考」の達人です。

次はメタ思考をテーマにわかりやすい本を書いてほしいなあ。

*********

本書でもうひとつ秀逸だと感じたのが比喩の作り方です。

比喩の作り方については、文章術の本でさまざま紹介されていますが、たいてい書かれているのは

・文学作品の比喩をストックしていく

・慣用句を参考にして表現をずらす

※「鳩が豆鉄砲を食ったような顔」という慣用句を参考にして「お預け中の犬みたいな顔」という表現をを考えるという方法

このようなものです。

それが本書では、次のような方法が提案されています。

例えば、

現代は情報量が飛躍的に多くなった

という文章を比喩を使って表現しようしたときどう考えるか?

まず「多い」の反対の言葉を考えます。

当然「少ない」ですね。

多い⇔少ないの対比を考えます。

情報が多いものの例を考える

それと対比して情報が少ないものの例を考える

本書では

情報が多い=広辞苑

情報が少ない=子供向け国語辞典

があげられています。

この対比を使うと

20年前の情報量が「子供向けの国語辞典」くらいだとしたら、現在の情報量は「広辞苑」くらいに飛躍的に増えているのです。

というわかりやすい比喩を生み出すことができます。

この思考の流れは非常に参考になりました。

ピックアップ

●まずは「言葉」を知らないと話になりません。いわゆる「語彙力」です。

●言葉を多く知っていることは「語彙力」の一部でしかありません。相手や場面に応じてうまく活用できることが本当の語彙力です。

●「単語」「慣用句」など、ただ集まってくるものを吸い上げるだけでは、目的を達成するための「養分」にはなりません。自らの意志で「根」をいろいろな方向に伸ばし広げていくことが必要です。そこで重要になるのがノートの存在です。まず、日々の「気づき」をノートに記していきましょう。このノートのことを「日気ノート」と呼ぶことにします。

●一番手軽に、濃度の高い「栄養分」が補給できるのは、「本(雑誌も含む)」「テレビ」「ネット」です。

●ストックした言葉を一部抽象化して、別の表現で具体化するという作業は「言葉の筋トレ」になります。

「ファクトの前では謙虚たれ」

 ↓

「○○の前では謙虚たれ」と抽象化

 ↓ さらに具体化

・「数字の前では謙虚たれ」
・「部下の意見には謙虚たれ」
・「お金の前では謙虚たれ」
・「利益の前では謙虚たれ」

こうして作ったものはもう自分自身のオリジナルなフレーズです。

●めんどうくさいことをやり続けることだけが言葉の木を成長させるただひとつの道

目次

はじめに 言葉の「種」を植える
第1章 「日気ノート」で、根を広げる
第2章 「内幹ノート」で、幹を育てる
第3章 「出言ノート」で、成果を生み出す
エピローグ 花を咲かせ、実を結ぶ

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